日本を代表するガストロノミックレストランのシェフが
「Apanage Brut 1874」のペアリングメニューを考案しました
「Apanage Brut 1874」 の特別ペアリングメニューとシェフのインタビュー
徳岡邦夫
人生に迷い、短い期間でしたが、頭を剃って禅僧になり、僧堂で12月にある修行-臘八に参加して最終決断しました。
御客様それぞれが、喜んで頂ける事です。
御客様各位が、喜んで頂ける情景を思い浮かべながら…。
例えば、3品目に提供させて頂く料理は、2番目の料理の後で、4番目の料理のひとつ前の料理である事も感じとりながら、具体的に、その御客様が召し上がっている事を感じながら、食材や技術の細部をイメージする。
それらを調整や工夫する事を繰り返しながら、料理として仕上げ、味見をしては、やり直してきました。
その一連の事を、スタッフと一緒に繰り返しながら、新しい価値の料理を作り出してきました。
Apanage Brutの印象は、リーズナブルでありながら、奥底にクラッシックな熟成感も感じるバランスが良いシャンパンだと感じました。
沢山の経験や繋がりがあるから醸成出来たシャンパンだと思います。
蛤汐椀は、グルタミン酸とコハク酸の相乗効果で、うま味が凝縮していて、私が最もシャンパンと合うと考えている料理です。
また、私共の数々の経験の中で、シャンパンメーカーさんの方々や、海外の方々、沢山の御客様が、シャンパンと合わせて召し上がられてビックリして喜んで頂けた経験がある料理のひとつです。
その蛤汐椀を、Apanage Brut 1874に合わせて、味加減を調整します。
シュバリエ騎士団の会で、毎回、ご一緒して、いろんな話をする中、関係が醸成していきました。
コロナ後、世界の価値が更新している中で、適応しながら、共に文化を創造させていかなくてはいけない存在です。
世界を舞台に、現状を正確に分析して、互いに必要とされ続ける存在でありたいと考えています。
山本征治
シェフを目指した、料理人になる…という事で、今がある訳ではなく、人は皆それぞれ社会人として、何を自分の「職」とするかという、それを選ぶ瞬間があると思います。好きな事をやって、それを仕事にしたい…。それが理想であります。私の場合、それが料理だった訳です。でも、料理には様々なジャンルがあります。私は日本に生まれた日本人です。日本人が本物を発信する立場で料理を作れるのは、日本料理だけであり、本物が異国にあるフランス料理、イタリア料理、中国料理は、他国の文化を学んで来るだけであり、自らのDNAを発揮することは、出来ないと若き日に、そう思いました。日本料理は、春・夏・秋・冬、日本の自然環境の豊かさを料理で発信するものであり、発信する立場で『日本人が持てる本物の職業』の一つに数えるべきだと私は思っております。私にとって日本料理は『国技』です。自分自身の存在は、この国の豊かさを料理でもって世界に対して表現出来る一員になるべく、この道に覚悟を決めて料理を作る事を使命として生きております。
四季折々の日本の自然環境の豊かさを、皿の上から料理という形でゲストに対し、日本を伝える事。決して自分自身の個性を売り物にするのではなく、素材のクオリティの高さを訴える事が大切だと考えております。特に味より先にゲストに届く料理の「香り」と「温度」を伝える事がガストロノミーとしての一番の御馳走という価値を抱いております。
今回は、四国 徳島の素晴らしい海域で育った肉厚の「あわび」と「松茸」を、あわびの殻を活かして殻ごと炎で炙りながら、行者にんにくと、あわびの肝のすり流しを合わせた物になります。
熱々の温度感で海と山の香りと共に召し上がっていただく料理をApanage Brut 1874に合わせる一皿として提案させていただきました。
シャンパーニュの印象といえば、しっかりと冷やして、食前酒や前菜的な物に合わせがちであります。しかし、このApanage Brut 1874は、リッチなボリューム感と、とてもクリーミーな泡のテクスチャー、そして冷やし方による温度帯での、味の印象やグラスの形状を上手に操る事さえ出来れば、様々な表情を見せてくれるシャンパーニュだと感じました。
日本料理としての季節のメインともなる、素材に合わせても素晴らしい相性を見せてくれる事を証明したく、このような考えでマリアージュを提案させていただきました。
私が四国から東京に出てきた時、ちょうど日本料理が日本酒だけではなく、シャンパーニュやワインを食中酒に取り入れるようになった、正にワインブームの始まりのような時代でした。その時、勤めていた店で私はカウンターに立ち、料理をしておりましたが、その時に、その修行先の店がハウスシャンパンのように使っていたのが、『ポメリー』でした。私が一番最初に名前を覚えたシャンパーニュであります。
赤坂洋介
私が小さい頃は週末に家族で外食に行くことが多く、いつも楽しみにしていて、レストランが身近なものでした。高校生の時には地元の居酒屋でアルバイトをしたのですが、調理も接客もさせてもらえて、作る楽しさやお客様に喜んでいただける幸せを感じたのが最初のきっかけかもしれません。調理師学校に入った時には、まだどの料理を専門とするのか決めていなかったのですが、卒業旅行でフランスやイタリアに行き、フランスで働きたい!と思ったことが、フランス料理の道への第一歩だったと思います。
「自分に正直であること」を大切にしています。
それまで生きてきた中で、初めて本気で集中できたのが料理を作ることでした。同じ自分が作る料理でも、年齢や経験で変わったりしますが、今の自分を正直にお皿にぶつけることをまず考えています。テクニックももちろん大事ですが、食材に真摯に向き合い、どうやってお客様を喜ばせられるかを真剣に考えています。もう一つは四季です。食材も当然ですが、季節の気候、気温の変化による食べ手の感覚にも寄り添った料理でありたいと考えています。
最初によく冷えた状態でApanage Brut 1874をテイスティングしました。すると、これはアペリティフに良いな、フレッシュなキレがあって、白桃やオマール、ライムなどと相性が良さそうだな、と浮かんだのですが、グラスを大きめのワイングラスに変えて少し温度が上がってくると、飲みごたえがあってふくよかな味わいに変化してきました。それなら料理はメインに合わせたものにしよう、と考え直しました。
「黒トリュフの香る七谷鶏のロースト 天然キノコのフリカッセとイカ パルメザンクリームとともに」
鶏胸肉にクリームソースのほどよい濃厚さが、シャンパーニュの繊細さとちょうどよくバランスが取れて、どちらが勝つわけでもなく、まさに調和した味わいになったと思います。酸味も大切で、ソースにはホワイトバルサミコも使うことで、一気にマリアージュを深めています。
長い歴史があって、青いラベルが印象的です。辛口のシャンパーニュを生み出した先駆者であることもポメリーを語る上で欠かせないですね。かなり昔のことですが、キュヴェ・ルイーズのバックヴィンテージを、トロワグロのダミアン支配人がおすすめしてくれて、ガニェールシェフと本店のシェフと一緒に飲んだことを覚えています。80年代のヴィンテージだったかな。ふくよかで口に広がる美味しさに感動しました。ポメリーの特にキュヴェ・ルイーズは特別な思い出のシャンパーニュです。
松本浩之
父が料理人をしており、私が中学生の頃にフランス・アルザスに修行に行きました。当時野球少年だった私にとってフランス帰りの父がとてもかっこよく思え、料理人を目指すことを決め、大阪辻調理師学校に進みました。父の道を選んだことを母は喜んでいたようです。それから色々なレストランで修業しましたが、フランスのシャモニーにある「アルベール プルミエ」でのピエール キャリエシェフとの出会いはかけがえのないものです。当時はフランス料理を学ぶ日本人に対して風当たりの強いレストランが多かったのですが、ピエールシェフは日本人の私にも丁寧に教えてくださり、厳しさももちろんありましたが努力をしっかり見てくれる上司でした。この人のためにもさらに自分を磨こうと思える素晴らしいシェフの下で学べたのは、とても大きな財産です。今でも交流があり時々訪れると、自家農園で畑仕事をしているシェフが迎えてくれます。
一番に季節感を大切にしています。料理を作るコツといいますか、大事なポイントは3つあります。1つは季節感、2つ目に色、そして食物連鎖です。例えば鹿が食べる果実や木の実を使ったソースにする、赤いピーマンに赤いサーモンを合わせる、魚の腹や貝の中から出てきた海老を合わせた料理にする、などです。特に東京のビルや地下に居ると季節感が感じにくいですが、できるだけ料理で季節を感じていただけるような食材を使っています。特に魚介類は季節をよく感じられるので積極的に旬のものを使います。また、自分で行って食べたものを取り入れています。例えば佐賀の生海苔や大分佐伯市のふぐとか。現地に行って実際に見たもの食べたものは間違いがないですし、自信をもって勧められますし、愛着も沸くので大切にしています。
私にとってシャンパーニュは初夏のイメージがあるのですが、この1874は常夏にぐっと冷やして1杯目に飲みたいと感じました。甘味と泡のテクスチャーがしっかりしているので、一つのお皿の中でも遊びがある、テクスチャーの違う料理を合わせたいと思いました。ペアリングメニューは「ヨーロッパ産 オマールブルーのミキュイ オシェトラキャビアと共に ナージュ仕立てのクリームソースで」です。海老の甘味やクリームソースの滑らかさ、食感の違いを出していますので、テーブルで一緒に食べた人の会話が弾むような料理とシャンパーニュのペアリングを目指しました。
25歳の時に初めてパリに行ったとき、足を延ばしてランスにも行きました。その時にポメリーメゾンを訪問し、深く長い階段を下りて奥まで続くセラーの中の一番奥の方に、古いヴィンテージのボトルが鉄格子の向こうに並んでいたのを覚えています。何万本とある沢山のボトルとシャンパーニュの歴史に感動しました。ランスのビストロやバーでは、人々が普通にシャンパンを飲んでいたことも覚えています。日本ではまずビール!という感じですが、みんなまずシャンパン!というように気軽に飲んでいてとても楽しく、やはり現地で飲むのは格別だな、と強く印象に残っています。
料理の素材と同じく、シャンパーニュもワインも現地に行って、見て、飲んだことがある、というものには愛着がありますので、ポメリーシャンパーニュも昔から大切に思っています。いまでもポメリーメゾンに訪問した時のパンフレットを持っていますよ。
栗田雄平
最初は料理というよりは、何かを1から自分で創るクリエイティブな仕事がしたいという気持ちからでした。当時、料理の鉄人を見てフランス料理のシェフがかっこいい!と思ったこともあり、料理人になるならフランス料理と決め、高校卒業と同時に都内のフランス料理店の門をたたいたのが始まりです。
トラディショナルな料理の現代的なブラッシュアップと、日本の素晴らしい食材と季節感、これらを融合させることは常に強く意識しています。トラディショナルな部分ということでは、素材を余すところなく使い切り味わいを重ねて作り込むというフランス料理の根幹の部分を大切にしています。また一方で、四季を通して様々な表情を見せる日本ならではの素晴らしい食材も積極的に取り入れます。同じ食材でもヨーロッパと日本のものでは風土の違いから、海のものも山のものも味わいが違うのは当然ですので、食材に対するアプローチや調理法の微調整は常に考えています。
今回の料理は「活牡丹海老のタルタル 赤紫蘇とフレッシュトマトのクリアなエキス 山羊乳のヨーグルトとキャビアオシェトラ」です。
最初にApanage Brut 1874を味わった印象は、とても多層的な複雑味。果実味とほのかな甘み、程よく苦みと樹木を感じる香りの余韻など、非常にバランスよく感じました。複雑で力強い部分にやさしく寄り添わせるフレッシュトマトの果実味と、牡丹海老の繊細な甘味と旨味、さらにシャンパーニュから朝の森のイメージが感じられたので、日本独特のハーブである赤紫蘇を合わせています。素材も一つひとつ吟味しました。オマール海老も試したのですが、牡丹海老のミネラルが合いました。サワークリームをベースにしたアクセントを考えましたが脂質が合わないと感じ、昨年訪れた富山の牧場の、とてもピュアな酸味を持つ山羊乳のヨーグルトを使用しました。重ねる味わいはあくまでも繊細に、素材の味わいとのバランスをとって、みずみずしい旨味を意識しました。
料理人としてこの世界に入った頃は憧れのような気持ちを持っていたシャンパーニュですので、今回このような機会を頂けてとても光栄です。またプライベートでも、自身の子供の出産のお祝いで頂くなど、人生の色々な、嬉しい節目の思い出のシーンにも度々登場するシャンパーニュです。
石田伸二
祖父が大工をしておりその仕事を見ていて、手に職をつけたかった、というのが理由でした。母の手伝いで料理にも興味があったので、地元徳島の調理師学校に進みました。その学校の校長である「青柳」の店主と出会い、卒業後に青柳で働き始めたのが料理人としてのスタートです。
食材です。日本は豊かな四季に恵まれ、季節の旬の食材が沢山あります。手を加えすぎたりせずに、この食材の本来の味を引き出す、食材を「食べている」ことを感じられるように料理すること心がけています。ちなみに一番好きな食材は鯛と鱧ですね。
最初にApanage Brut 1874を飲んだ時、柑橘の酸味を感じました。泡もしっかりしていて味わいにボリュームがある。だから酸味のある料理に合うと思いました。
食材として鱧も考えたのですが、シャンパーニュの味に負けない蛸を選んで、きゅうりのすり流しの青い感じや、三杯酢のゼリーと合わせています。
料理は「蛸ちり」。蛸の足には細かく両面から包丁を入れて少し湯引きして仕上げています。吸盤はしっかり火入れして食感を変えています。新生姜の甘酢漬けもアクセントになっています。
実は、人生で初めて知った、飲んだシャンパーニュがポメリーでした。元々あまり飲めない体質でしたが、40歳を過ぎてソムリエの飛田氏と一緒にさまざまなシャンパーニュを飲む機会も増えました。それでもポメリーはずっと根底にあるシャンパーニュです。
今橋英明
幼少期から建物を見たりブロックで作ったりする事が好きでした。漠然と建築業界の方に進んで行くのかと自分でも思っておりましたが学生の時に観た料理を題材としたイタリア映画を見て興味が沸いたのがきっかけです。海外出張が多かった父と、看護師だった母の影響で身の回りの事は全て出来るべきとの教えから食事を手伝ったり作ったりするのも小さな頃から日常だったので入りも自然でした。
フランス料理をやりたいと思ったのは学生時代にアルバイトをしていたイタリアンレストランのシェフが勧めてくれたのがきっかけです。
料理を作る事と、メニューを作る事、それぞれ異なる大切にしている事があります。
料理を作る事で大切にしている事は『基礎』です。
やはりプロとしてお客様にお料理をご提供するにあたり、技術面はもちろん人として食に関わる者として、ローブの経営者としても謙虚な姿勢で日々努力精進、適切な立ち居振る舞いなどは自分の中で意識し大切にしている所です。
メニューを考案するにあたって大切にしている事は『食材』『テロワール』『抑揚』でしょうか。先ずはその時期に良い『食材』を見極めて使う事。その生産者、土地『テロワール』と向き合い料理を決める。コースなので似たようなタイプの料理が続いてしまわぬよう、流れにしっかりとした『抑揚』が付く様にソースや香りのテイストを料理毎に替えることを心掛けております。
第一印象を文字で並べると『熟成』『トースト香』『柑橘』『旨味』『フェンネル』『コリアンダー』『奥ゆかしさ』。コンセプトは『普遍的な美味』。
その時代の変化に合わせて美味しさのバリエーションを広げ続けているシャンパーニュという事で、今回はこの7つのキーワードとコンセプトを持って料理のご提案をさせて頂きました。
夏から秋にかけてレストランローブで使われる長崎や熊本天草から届く南方のハタ系の魚は氷温で熟成をかけて使用しております。その中でも今回はしっかりとした旨味もありながら繊細な身質、熟成した際の深い味わいを楽しめる熊本天草のアコウをチョイスしました。
蒸し焼きにしたアコウの身はしっとりとしていて旨味を感じます。
コリアンダーと鶏節の旨味スープでブレゼしたフェンネルを付け合わせに、鶏節とハタのフュメを合わせて煮詰めカフィアライムリーフの香りを付けた旨味のスープが全体の味にさらに深みを持たせ、まとめてくれます。同じ土地で栽培されるグレープフルーツのさわやかな香り、削った半生鶏節、ローストしたアコウの鱗のテクスチャー、それぞれのポイントがApanage Brut 1874の印象、個性とリンクしこのスープ仕立ての深みがある料理と合わさり、時代や場所を変えても普遍的な美味しさ、マリアージュをもたらせてくれると思います。
2016年にレストランローブを東麻布で創業し9年目を迎えるレストランローブですが、通常営業でももちろんの事、特別なディナーやクローズドのイベント、素晴らしい食の場に常に華を添えて頂いているのがシャンパーニュポメリーです。
料理においてもデザートにおいてもフランス食材だけではなく日本食材も多く取り扱うローブにとってはブリュットロワイヤル、アパナージュ、キュヴェ・ルイーズ等多彩なプロダクトを持ち合わせているシャンパーニュポメリーは非常に魅力的で好相性なシャンパーニュと言えると思います。
渋谷圭紀
幼いころから食材に触れるのが好きだった。
1度来てもらったお客様には、また来たいと思ってもらえるようにしたいです。そのためには、まずは自分が行きたいと思えるお店を作ること、自分が食べたいと思える料理を作ること。
繊細な中にしっかりとした味わいで肉料理でも合わせやすいと思い、鴨にクリームをたしたソース、レンコンは好きな食材でカニと一緒に合わせました。中間的な風味でApanage Brut 1874に合うと思いました。
ポメリーとパートナーシップのルレ・エ・シャトーに加盟して32年になります。過去にルイーズとたっぷりのキャビアをガラディナーでいただいた思い出、ボワイエを訪問した際もポメリーがスポンサーであったかと記憶しております。